Social Care Design

「私たちは常に“ひと”を観て、そして明日をカタチにします」

BLOG

2014.06.02

「介護とデザインのコラボから生まれる期待」
福祉×デザイン・アイデアソンに参加して


10年以上花の世界に身を置き、4年前花育に出会ってから、自然を軸にした人との繋がりや交流をテーマにワークショップや多世代の場作りを考えていた私が、福祉の、中でも介護の現場に入った初日で感じたことがあります。

「一人の人間の晩年のケアがこれでいいのだろうか。いいはずがない。」

職員不足による目配り気配りの甘さ。知識はあっても現場未経験の人間が数時間で感じてしまう疑問。
現場にいる人達は精一杯を尽くし、わかっていても余裕がない。
これはもう身内だけで解決できる問題ではないと思います。

今回のアイデアソンでは、ファシリテーターの須藤さんと相談し、「まだまだ知られていない現場の嘘偽りない現状をお伝えしよう」ということになりました。

話題提供ではまず、私が在籍していた1日の利用平均が30名前後の通所介護施設(デイサービス)と呼ばれる施設での1日の流れを説明することから始めました。

デイサービスとは、介護を必要とする人(要介護・支援認定を受けた高齢者)が、施設に入所するのではなく、昼間に日帰りで利用できる通所介護サービスを指します。
昼間の一定時間、専門の福祉施設で日常生活上の世話(入浴・食事)や、機能・適応訓練などを中心に行っていて、ADL(日常生活動作)の維持向上や、他者との交流を目的としています。

そのスケジュールを軸に、どういった職種が何人いてどう動いているか、をご説明させていただきました。

次に、現場の悩みや課題、利用者が抱える悩みや課題についてのダイアログ。

現場の問題は、枚挙にいとまがないですが、今回は、主には人材不足・介護者の体力負担の大きさ・拘束時間と賃金バランスを取り上げました。
利用者の問題は、ケアマネージャーとの関係性・施設職員との関係性・家族との関係性・医療機関との関係性・福祉用具の種類・食事など。
レクリエーション一つをとっても、様々な制約があり「利用者と共に花壇を作る」「庭や季節の花で生け花をする」というレクでも多くの準備を必要とします。

現場ではあまり声にできないこと、頭では分かってもいても声に出すことをためらってしまうような悩みを現場にいると抱えていきます。
しかし、「ほぼほぼ辛いことの中にちょっと楽しいことがあるくらい」と当日お話ししたように、それが現実でもあります。

こうした現場の課題をお伝えした後、参加いただいた方々の視点から問題解決のアイデアを出し、意見交換し、アイデアを磨いていきました。

私自身、介護とデザイン領域のコラボは初めてのことで、どうなるのか期待と不安がまさに五分五分でした。
ですが介護の専門領域ではない方々から、介護サービスの基本概念から見直すべきではないかといったアイデアが出てきたことに、驚き以上に嬉しさと、今後への期待が高まるとても貴重で楽しい時間となりました。

「少子高齢化が大きな社会問題」と世間では騒がれますが、頭ではわかっていても、
仕事で関わる、あるいは家族で関わることがなければ、身近にはならないのが介護の世界ではないでしょうか。
ある利用者さんがレク中に私に言った言葉が、今でも頭に残っています。

「若者笑うな、来た道だ。老人笑うな、行く道だ。」
大元は浄土宗の信徒の言葉だそうですが、とても衝撃を受け、また納得もしました。
利用者の誰もが「まさかこうなるとは思っていなかった」と口にします。
つまりその「まさか」はどの人にも起こり得ることなのです。
身構えて「介護」と考えるよりも、明日のことを考えるように、様々な方々と知恵を出し合っていくことが必要です。
いつまでも、どんな時も、喜びのある毎日を生きるために。
このケアデザインという視点と、機会をいただけたことに、感謝です。

トリニティの皆様、須藤さん、そしてご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。

岡﨑 万奈 Mana Okazaki

ソーシャル・フラワーアーティスト

フラワースクール講師の仕事をしながら2009年社会福祉士取得。 2012年花業界から福祉の現場へ転職。 介護職員として通所介護施設に勤務。 利用者と施設の花壇 作りや生け花などの花育に取り組む。 2013年9月より、機能訓練特化型短時間デイサービス施設の生活相談員となる。少子高齢化対策に施設以外の多世代•多様な人々の交流や共生のコミュニティが必要であると考え、花や自然を介しての場作り、ワークショップやイベントを企 画している。