Social Care Design

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2014.09.11

What is “マイプロ”?- ジブンゴトを生み出す、新たな教育手法の姿を考えよう -


ソーシャル・ケア・カフェ vol.3 「What is "マイプロ"?~ジブンゴトを生み出す、新たな教育手法の姿を考えよう~」が2014年8月28日、15名の参加で開催されました。

今回は、「教育」をメインテーマに、看護師、保育士、教師、医療ソーシャルワーカー、医師、ベンチャー経営者、大学講師、大学院生、障害児支援ソーシャルワーカーなど多様な専門家がそれぞれの視点から議論する場となりました。

講師に、ビジネス・ブレークスルー大学講師/BADO株式会社代表取締役の須子善彦氏をお招きし、ソーシャル領域で注目を浴びる、"マイプロ"という手法について、その体験を通じて、意義や有用性について学び合う時間となりました。

マイプロとは、マイプロジェクトの略称で、慶応SFCから始まった教育手法として知られています。特徴は、生活の中で感じている些細な疑問や違和感、問題意識に心を傾け、そこから生まれてくる想いからプロジェクトを創るところにあります。

そして、一人ひとりの生きてきた物語を深く見つめ直し、それを仲間と共有することで、一人ひとりがスペシャルな存在であるということ、今、そして、未来が、これまでの経験との連なりの中であるというコンテクストを明確に浮かび上がらせ、プロジェクトへと展開する、一連のプロセスをメソッド化している点も特徴と言え、大学や高校はもちろん、地域活性化、被災地支援など適用領域は広い手法として知られ、その有効性についての認識が徐々に広がりを見せ、各地でマイプロやその考えに基づいた取組が成果を生み出しています。

カフェではまず、須子氏からマイプロの基本概要について話題提供がありました。

世の中の物事は

will/want:したい
can:できる
should:求められてる

の3つにわけられ、特に、willと他の2つを繋げる、できるだけ重なるような取組が社会を後々変えるようなプロジェクトに発展していくのではないかと指摘します。

一般的なビジネスプランの構築では、どちらかといえば、shouldが強調され、マーケットの分析や社会から求められていることを軸に事業構築が進められる傾向にありますが、それは短期的には成果を生み出しやすい一方で、自分事にはなっていなかったり、他者の共感を生み出すことには必ずしもつながらないといった点も徐々に明らかになってきていると言います。

そこで、マイプロでは、「マイプロシート(me編とproject編の2つのシート)」を活用し、will、can、shouldの重なりを対話と実践を何度も繰り返しながら深めていくことで、ジブンゴトを生み出し、他者を巻き込んでいくことが意識されています。

マイプロの実践において大切なことは次の2点。

1.自分がやりたいこと
2.誰のために

を明確にすることだとされます。

そしてとくに、

・自分のヒストリーを大切にする
・お互いに励まし合う

ことをしっかりとファシリテーターや参加者が理解し、一人一人のライフヒストリーから生み出される問題意識を具体のプロジェクトへ展開する動態的なプロセスを感じ取ることのできる新たな手法だと言えます。

マイプロの実践の流れは、
1.マイプロシートの作成
2.マイプロシートのシェア&対話
3.Project実践
4.projectの状況シェア&対話
5.3~4の繰り返し
を3か月から6か月の期間で実施します。

今回のカフェでは、上記の、1と2を体感するため、参加者全員でワークを行いました。
体感後、参加者からは以下のような感想が出されました。

「やりたいことが沢山あったけど、できること出来ない事などの明確化が足りなかった事に気付いた。明確化するためにもマイプロシェアを1つの手法として言葉にすることが大切だと感じた。」

「楽しかった。マイプロシェアを教育現場に取り入れることは少しむずかしいかもしれない。でも大人になった時のためにも、これを取り入れていくことがいいかも」

「本心を素直に聞くっていうことを目的として質問するのが難しい」

「マイプロを1年することによってどんな変化が生まれているのか深く知りたい」

「外と内の度合いが大切で、My Projectはそれができる。学生が自分の意見を出せなくなっている現状がある。その人達に行う事で、自分の体験を話し、思い出す、それに対しての他人のフィードバックによって自己肯定観が高くなるのではないか」

「他の人が頑張っているのを見ると、自分のプロジェクトで悩んでいたとしても頑張ろうと思える」

「中学生とか高校生とマイプロジェクトをしようとすると、どんな形になるのか」

など、短い時間でしたが様々な感想が出されました。

そして、それに対し、須子氏からは、
「マイプロでは、プロジェクトの進捗具合についてはフォーカスしない。自分の心の方向性を確かめる思い出す事の方が大切である」
というファシリテーションを行い際の重要な視点も提供された。

最後に議論は、教育現場での実践へ向けての本質的な領域へ踏み込まれ、
「教師や保育士の価値観が大きく子どもたちに影響し、子どもたちは正解を出す、しかも、直線的に答えを出すことだけが正しいと無意識に思い込んでいるのではないか」
「親の力が強く、評価の言葉掛けによって、子供達の感情表現が出来なくなってしまっている」
など、マイプロの根底にある価値観を子どもたちはもちろん、それを実践する教師や保育士、親といった大人の側がしっかりと理解することの必要性も共有されました。

2時間という短い時間で語り切れず、参加者のほぼ全員が交流会にも参加し、熱い議論が交わされ、濃密な時間となりました。

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須子善彦 Yoshihiko Suko

1979年生まれ。函館市出身。慶應義塾大学SFC政策・メディア研究科にて博士号取得。
学生時代にはAIESECにて活動。mixi以前よりSNSを研究し在学中にベンチャー創業。
2005年IPA未踏ソフトウェア創造事業にて「天才プログラマ・スーパークリエータ」認定。
地域SNSに関する本の執筆をきっかけに地域活性化に旅人(よそ者・若者・バカ者)が与える影響に関心を持つ。
大学教員、社会起業スタッフを経て現在は教育ベンチャーBADO株式会社(http://www.bado.tv/ )を創業、代表取締役CEO。
旅の奨学金などを通して若者を育成中。埼玉工業大学非常勤講師(ボランティア論、マイプロジェクト)。
ビジネスブレークスルー大学にて、ITを用いたグローバル教育、ならびにソーシャルメディアによる新しい学習環境作りを研究・実践中。