Social Care Design

「私たちは常に“ひと”を観て、そして明日をカタチにします」

BLOG

2015.02.04

「ちがいを活かし合える社会を実現するために私たちにできること」


第4回ソーシャル・ケア・カフェでは児童思春期精神科医でDIC Founder / Chairman である、小澤 いぶきさんをお招きして、話題提供頂きました。

小澤さんはこれまで精神科医として、多くの問題を抱えた子どもたちと向き合ってこられました。家庭内での暴力や、それにより時には兄弟を失った体験をした子ども、父親からの性的虐待を受けたり、それによる一家離散を経験した子など、状況は本当に様々です。

そうした子どもたちと向き合う中で、ある課題が浮かび上がってきました。
それは、こうした境遇の中にある子どもたちが「かわいそうな子」として一括りにされ、
「被支援者」という存在として扱われることに対する疑問です。特に医療の現場では、
「支援者」と「被支援者」という関係性が前提となってしまう。

この構造が変わらなければ、同じ状況のもとに問題を抱えた子どもたちは再生産され続けることになりかねない。
本当は、誰もが対等に生きられるような環境さえあれば、子どもたちは一人一人、
ちゃんと自ら生きていく力が備わっているのにも関わらず。

実際、小澤さんの出会った子の中には、学校で信頼できる先生を見つけることができたことがきっかけで、この先生へのSOSを介して家族のもとを離れ、施設での暮らしの中で、徐々に自分を出せるようになった…という子もいたのだそうです。

そんな経験から、信頼できる人と出会える、子どもたちのための第2の家ともいうべき場所をつくりたいと思うようになったそうです。

小澤さんは今、地域にそうした場所を提供するための仕組みづくりに奔走している。
サービスのプラットフォームを提供する母体として、株式会社ディーアイシーを設立したばかりだ。
同社は「ちがう背景やかたちを持つ、一人ずつが認められる社会」の創造をミッションに掲げる。
Children Centered Designの考え方のもと、
子どもを中心に据える、子どものための安心基地をつくる、そして有機的なつながりをつくること、を目指しています。

「例えば道を歩いていたら、ホームレスがそこにいても黙って通り過ぎるような無関心さが、いろんな問題を生んでいる。
そういった無関心さを楽しさ、ワクワクでつなげられたら」と小澤さんは語る。

地域に子どものための安心基地を
現在、ディーアイシーでは「食事」を介して地域の方々が集う場を提供するサービス、
eat&(イートアンド)を準備中。正式リリース後にはアプリの提供も予定されているとのことです。
http://di-children.com/eatand/

このサービスは、「料理をつくるから、誰かに食べに来てもらいたい」という人(ホスト)と、「今日は料理を作りたくないな」「今日は自宅にご飯がないな(食べれない)」という人(ゲスト)をその地域でマッチングさせるもので、ゲストとなる人はホストさんのお家に集まって、少額をホストさんに渡してご馳走になる、というユニークなもの。

自宅の場所を提供することからハードルもあるそうですが、現在都内にていくつかのテストケースが既に始まっているのだそう。
そこでは地域の非行少年たちと、お母さん方が同じ場所に集う光景が見られるのだそうです。まさに地域の中の「安心基地」ともいうべき場が現れつつあります。

明るくこれからの事業展望について力説する小澤さんに、参加者のみなさんも自然にひきこまれていきました。メンバー同士のフリートークでは、小澤さんの活動をさらに広げられるようなアイデアが活発に飛び交い、さながら全員・コンサルタント状態?

「メンタルの調子を崩してしまった会社員の人のリハビリも兼ねて、こうした場の運営役をまかせてはどうか」

「企業も自社の社員のメンタルの問題に取り組むことで、社会貢献活動につながっていくのでは」

「地域のおじいちゃん、おばあちゃんはむしろ非行に走るような子どもたちにも抵抗感がないと思う。特に独居の人なんかに面倒みてもらえたらいいのでは!」

…などなど、話は尽きることがなく、2時間の時間はあっという間に過ぎて行きました。

地域に根ざした、子どもたちが(そしてその周りのひとたちも)安心できる”第2の家”。
自分の身近な地域にもそんな場所が近い将来、出現していってほしいと感じさせる、
小澤いぶきさんからのお話でした。

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小澤いぶき Ibuki Ozawa

Founder / Chairman

医学部卒業後、研修医、精神科救急医を経て、東京都立梅が丘病院、東京都立小児総合医療センター児童思春期精神科で児童精神科医として、臨床に携わる。 精神科専門医、精神保健指定医。asobi基地立ち上げ及び運営、Pe’Canvas立ち上げ及び運営に携わる。様々な背景や違いをもつ一人一人が尊重される、多様で包摂的な社会の中で、どんな子どもも安心できる育ちの場とその子なりの学びの場、その先の生き方が選択・創造できる。そんな文化が醸成されていく生態系を創っていくため、DICを立ち上げている。そのための領域横断的なネットワークも構築中である。